論点集『日本の死角』の活用法を考えてみた
私が思う、いい文章の条件のひとつは、視点の新しさだ。
「それそう!思ってた」とか「そういえば、なんでだろう?」みたいな誰も語らなかった視点は、そうそう思いつけるものじゃない。
だから私にとって「いい文章」を書くのは、難しい。
※「書く+αで生きていく。ライターの歩き方」は、横浜出身・天草在住の筆者が地方に移住し未経験からライター業などの複業を営みながら、人生100年時代を楽しく、自分らしく生きるために必要な考え方やスキルアップのヒントなどをお届けしています。
「移動しないこと」の意味
この週末、『日本の死角』という本を読んだ。
帯にもあるように、気になる話題が盛りだくさん。いろんな識者の論考をまとめた1冊だ。
個人的に印象に残っているのは「地方で拡大する”移動格差”」と「女性に大人気”フクロウカフェ”のあぶない実態」の2つ。
Amazonの紹介文にも掲載されている移動格差の文章を引用する。
『移動できる者』と『できない者』の二極化が進んでいる。かならずしも地方から出る必要がなくなるなかで、都会に向かう者は学歴や資産、あるいは自分自身に対するある種無謀な自信を持った特殊な者に限られているのである。
問題は、そのせいで地方社会の風通しが悪くなっていることである。学歴に優れ、資産を持つ『社会的な強者』だけが抜けていく地方になお留まる人びとには、これまで以上に地元の人間関係やしきたりに従順であることが求められる。
結果として、地方では『地域カースト』とでも呼べるような上下関係が目立つようになっている。移動の機会の減少は、それまでの人間関係を変え、ちがう自分になる可能性を奪う。その結果、親の地位や子どものころからの関係がより重視される社会がつくられているのである
これは私自身、地方に移住して以来、感じていることでもある。
でも、これは地方の話ではなくて、都会でもそうだよね?と思う。ただ単に人が少ない地方の方が、見えやすいというだけで。経済力や学力とも結びついたセンシティブな話題なので表立って言いにくいけれど、やっぱりそうなんだと思った。
「移動しなくて何が問題?満足してるんだから、それでいいじゃん」と思う人もいる。そう思うこと自体が悪いわけではない。問題は引用文にもあるようにそれが「人間関係を変え、ちがう自分になる可能性を奪う」ことにある。
違う自分になる可能性を失った個人や地域は、時代に取り残されていくのだろうと思う。
移動格差とフクロウカフェの共通点
フクロウカフェについては、フクロウが好きな人が行くカフェのことなんだろうくらいにしか思ったことがなかった。猫カフェとかの派生でしょ?くらいにしか。
けれど、この本を読んで何が問題なのか、ぼんやり見えてきた。フクロウカフェはアニマルウェルフェアの話なのだけど、根っこは移動格差の話とつながっているような気がする。
どちらも「今、世の中がどうなっているか」、つまり自分の外側に対する視点を欠いているために、気づけていない問題だからだ。
この本をどう活用するか、考えてみた
正直なところ、この本はいろんな人の手記をまとめたものなので、1本の論考を読んだからと言って、論じられている点をすべてカバーできているわけではない。
でも「論点」を知ることには意味がある。さらに、その論点を深掘り・または転換するためのきっかけにもなるだろう。「それ、おもしろいね!」と思いながら、途中からどうこの本を使えるか、みたいなことを考えはじめていた。
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災害大国の避難場所が「体育館」であることの違和感
はタイムリー。ちょうど避難所の問題を挙げた記事を目にしたばかりだったけど、もしかしたら、この記事のライターもこの本をタネにしているのかも。
『日本の死角』興味のある人はぜひ、読んでみてね!!
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