人間関係の問題はトラウマが原因かも。メンタル不調を放置するリスク

仕事やプライベートの問題に対処するには、ハウツーを学ぶのが一番。そう思っていませんか?しかし、ハウツーは根本的な解決につながらない可能性が高いです。その理由をシェアします。
のりー 2022.11.06
誰でも

『あなたに見えない私のこと(原題:The Me You Can't See)』というAppleTVの番組を見ました。

この番組はメンタルヘルスにフォーカスしたドキュメンタリーです。

メンタルの問題を語ることは「恥ずかしいこと」「自分の弱さをさらけ出すこと」といった見方をする人が多いと思います。

私もそう思っていました。

けれど、ヘンリー王子やレディー・ガガなどの著名人が登場しているということで、何を語るんだろうという好奇心から見てみることに。

今週は『あなたに見えない私のこと』という番組を見て思ったことを、仕事やプライベートの問題とからめてシェアしたいと思います。

悲しみや怒りを放置するとどうなるか

まずはドキュメンタリーの中でそれぞれの登場人物がどんなことを語っているのか、かいつまんで紹介します。

ヘンリー王子はロイヤルファミリーという特殊な環境で育ち、多感な時期に母を交通事故で失う経験をしました。

心の痛みを口にすることはタブーとされたため、ヘンリー王子は自身の悲しみや怒りを封じ込め、適切なサポートを受けることなく大人になりました。

しかし、妻であるメーガン妃と口論になったとき、彼女から「誰かに相談するべきだと思う」と言われたことを機に、ヘンリー王子は専門家のカウンセリングを受けることにしたそうです。

レディー・ガガは、19歳のときにレイプを体験しました。相手は20歳以上も年上の音楽プロデューサーだったそうです。

そのときの経験は彼女の人生に暗い影を落としていて、いまもPTSDや慢性的な身体の痛みを抱えています。

自分のメンタルについて語ることは恥じゃない

わぉ。壮絶な体験だね。ドキュメンタリーを見た人は誰もがそう思うはず。

しかし、この番組が伝えたいのは、こうした著名人の身の上話を一方的に語ることではありません。

番組の目的はコロナを機に増えたメンタル不調で悩む人に対して、メンタルについて語ることは恥ずかしいことじゃない、というメッセージを伝えることでしょう。

彼らはあくまでも、視聴者に「あの人も?」と思ってもらうための事例です。

話をするのは自分自身のアピールのためではありません。地位や名声を持つ人が同じような体験を持っていることを知ることで、救われる人がいると思うからです。
(レディー・ガガ:The Me You Can't See)

レディー・ガガはこのように言っていました。また、ドキュメンタリーに登場した別の人は次のように話していました。

セラピーなのに、つらいなんてね。自分と向き合う作業は心が重くなる。
(The Me You Can't See)

感情を封じ込める訓練を重ねた幼少期

私も自分のメンタルについて公の場で語るのは、かまってちゃんがすることであり、恥ずかしいことだと思ってきました。

精神的に早熟だった私は幼い頃から周囲の大人や社会に対して、強い疑問を持って育ちました。

でも自分の要求を通すには、社会や大人の要求に応えることも必要です。

そのためには、感情はできるだけ感じない方がいいし、表に出さない方がいい。そんなことより、まずは何をするべきか考えろ

そう思いながらかれこれ30年以上。私は自分のメンタルに向き合うことについて避けてきました。

内面の問題なんて、大したことじゃない。世の中にはいろいろなハウツーがあるし、それをやっていれば大丈夫でしょ。実際、これまでそれなりにやってきたわけだし。

そう思っていたのです。

人間関係の問題の大元はトラウマが原因かも

しかし去年、知り合いのカウンセラーの話を聞いたことがきっかけでメンタルヘルスに興味を持つようになりました。

ちょうど、夫との間に口論が絶えない時期だったこともあり、不調の自覚がなくてもカウンセリングを受けてみよう、と思うようになったのです。

そして関連本を読んでみたり、実際にカウンセリングを受けてみたりした結果、私に必要なのは自分が幼いときに感じていた怒りや悲しみといった感情にきちんと向き合うことだとわかりました。

どうやら「過去のトラウマを放置しきちんと対処しないと、その問題は姿や形を変えて何度でも登場する」そうです。

このドキュメンタリーでも誰かが話していたように「外側は作れる。にっこり笑って、よしいくぞ、と仕事に行く。でも内面はぐちゃぐちゃ」だったのかもしれません。

ポーカーフェイスで生きることに慣れすぎて、自分が何を感じているかに鈍感になっていたんですね。

誰もがトラウマを持っている

トラウマというと、大切な人を失ったとか、虐待を受けたとか、何かとんでもない出来事が引き金になると思っている人は多いでしょう。

でも、決して特別ではない、と思いました。

大なり小なり、誰もが何らかのトラウマを持っていると思います。

大事なのはそれを自覚し、ときには専門家のサポートを受けるなど、適切な対応をとることです。

そうしないと人間関係にひずみが出て仕事や家庭生活に支障が出る、人によっては心身の不調として表れることもあります。

「ささいなこと」として放置するリスクは、もっと多くの人が知るべきです。

ドキュメンタリーでは最後のヘンリー王子の次の言葉が印象的でした。

私には、同じ体験を連鎖させない責任と義務がある。
(ヘンリー王子:The Me You Can't See)

いま多くの人が人間関係の悩みを抱えているのは、メンタルヘルスの正しい扱い方を知らないせいかもしれません。ライターなら書いたものには、そのときの精神状態が表れます。

子どもを持つ親としても、誰もがトラウマを持つ可能性があることを知り、正しい対処方法を知っておくことは大事だと思いました。

AppleTVを契約している人は一度見てみると、おもしろいですよ。

***

今週のまとめです。

  • メンタル不調について専門家のサポートを受けるのは恥ずかしくない

  • 仕事やプライベートをうまく運ぼうと思うなら、過去を振り返ってみよう。

  • ハウツーはそのあと。

今週も先週のニュースレターの裏側を話してみました!

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